生きる



墓地に一際大きい
二人の戦没者の碑がある
終戦の十八日前の空襲で
家が燃えた

女手の無い家に母が嫁ぎ
私が生まれた
体の大きかった父が
結核に倒れ
私が生まれて喜んでくれた
爺さんとひこ爺さんが
同じ年に亡くなった

ある時は
病院から田んぼに通い
稲の花を咲かせた父
毎年秋には
少しの新米を採り続け  
我が家が
人並みの生活に戻るのに
二十年かかった

東北の被災地には
どんな花が咲き続け
二十年が
過ぎるのだろうか



   田んぼの一年へ